こんにちは。
ずっとさぼっていたブログの更新を立て続けに行っています。
何のための更新なのか??についてはまたその内に…
今回、1週間ほど泊りがけで房総半島の各所にいるその地域のキーマンに会ってきました。
「キーマン」としている定義ですが、
1.その街のことであればその人に聞くと大抵の情報が入ってくる
2.独自のコミュニティを持ち活動している
3.独り占めして独り勝ちする事を目指さず全体としての向上を願っている
4.既存の団体を活用する場合もあるが、基本的にはエリアを超えた人のネットワークを構築できている
5.何らかの情報発信を行っている(SNS、ブログ、HP、タウン誌、地域の新聞社など)
今回書かせて頂くのは南房総市で狩猟免許を持ちながら「地域おこし協力隊」として赴任し、この春に無事任期を終え事業を形にした沖さんとその周辺のコミュニティについて書かせて頂きます。
南房総の移住支援プラットフォーム「ヤマナハウス」

南房総市の山奥にあるヤマナハウス。ヤマナとは「山名」という集落の地名からとっている。
ここで築300年と言われる古民家を使って宿泊可能な体験型田舎生活を提供するのが都内でIT企業(だったと思う…)を経営する永森昌志さんと、地域おこし協力隊でやってきた沖浩志さんだ。
僕がここにやってきたのは3~4回目くらい。過去に宿泊させてもらったこともあるし、単純に打ち合わせだけの日もあった。
今日は、ヤマナハウスの運営母体NPOのメンバーが集まって会議をするという。
会議の前後に山で作業するから「汚れても良い格好で来てほしい」と言われたのでさっそくワークマンに行ってツナギを買った。不思議なものでツナギを買うとワクワクする。
(普段ツナギなんて着る機会がないのでうれしくなって、翌日にツナギを着て出社したのは黙っておこう)
この日は午後から雨予報。
いきなり雨…
沖さん
「作業できることが少ないけどちょっとずつやっていきましょう」
と、おもむろにカップ麺を取り出してお湯を注ぐ…
やまけん
(あれ、雨降る前に作業したらいいのに…)
僕の発する「気」を察したのか、
「いつもこんな感じでぼちぼち持ち寄った食事を食べてから作業にかかるんですよ~」と沖さん。
房総半島にやってきてまでも効率よく作業しようとか考えている僕が間違っているのかも知れない。作業を効率よく終えて、早く帰るのが目的ではなく、作業をいかに楽しくみんなでやっていくのか??というあたりが移住者の心得なのかも知れない。

食事を終えて、いよいよ作業!
しかし…予想通り雨が降ってきた。
沖さん
「うわぁ~雨ですね…ちょっと小降りになるまで待ちましょうか」
と、雑談が始まった。
みんながどんな人なのかわからないけど、言葉の端々から漏れ聞こえてくる内容によるとセカンドハウスを作っている人やすでに移住を済ませてしまっている人も多い様子。
沖さん
「あっ、紹介忘れていた!この方、船橋からやってきてくれたやまさきさんです。タウン誌の編集とか仕事にしている方です」
とメンバーに紹介してくれた。
この日参加しているメンバーは、東京都内に住んでいたけどリタイヤして君津とか袖ケ浦の方に古民家を購入して移住している男性や、横浜方面からやってきている男性、IT企業をリタイヤして館山のシェアハウスに移住してきて現在自宅を改装中だという男性…
基本のスペックとして全員が簡単なDIYや電気工事などを行える知識を持っているという。
やまけん
「みなさん、どうやって住宅改修の知識を身に付けられたのですか??」
Sさん
「ここでやっていく内に覚えたんだよ。あっそれでも親方はちょっと本職なんだよな~」
と、先ほど紹介して頂いた内房移住の男性を示す。
どうやら、ヤマナハウスを修繕しながら仲間内で徐々にDIYの知識を教え合っていくらしい。数年もすると自宅の簡単な部分くらいだったら修繕も改良も可能になるようだ。

そこに体験移住の若い夫婦がやってきた。
移住者の若い夫婦
夫婦
「こんにちは~」
メンバー一同
「おぉ~きたか~今日は体験でしたよね~。なんでも聞いて。聞いて!」
と受け入れ態勢が半端じゃない。
みんなが今日初めて会った若い夫婦に対してずっと前から友人だったかのようにふるまう。
(田舎のこういうみんなが家族のようなコミュニティが苦手な人は絶対に地域に移住できないんだろうな…)と様子を伺う…
都内からやって来たらしい夫婦は、おずおずと登場した男の子を紹介。2歳だという。
移住を考える人の多くが「子どもが小学校に入るまで」に新しいコミュニティに所属していく。その前の段階で田舎での子育てを選ぶか、都会での子育てを選ぶか?という選択で地方を見に来る。
千葉県は、比較的移住者が多いらしく移住に関する情報発信が逆に少ないという。東京に2時間。仕事をしながら稲田を体験でき、しかも土地や建物がほぼ無料で手に入る地域もある。こういう立地なので多くの移住者が「移住初心者は千葉を見る」というのも納得だ。
千葉には移住を促進したり、テレワークでも働ける拠点整備をしている事業者が結構いる。それらの人たちは行政からお金をもらって環境整備をするのではなく自分たちの事業として環境整備をしているので、地域の行政マンたちが詳細を知らない例も多い。
沖さんの事例は、「地域おこし協力隊」としての活動になっているので行政とも連携し、しっかり情報の共有が行われている点で珍しい。

永森さんが立ち上げたヤマナハウスに沖さんが参画したそうだ。ここに移住希望者らが集まってきているのだが「どうやって募集したんですか?」と聞くと、
沖さん
「活動をメディアなどがとり上げてくれるのでそれを見た方々が少しずつ参加してくれているんです。この間も食いしん坊万歳の人が取材来てくれたり…あっ、この雑誌にも載りました」
と、キャンプ関係の男くさい雑誌を見せてくれる。
沖さん
「この雑誌で来てくれたのがこの方なんです」
(なるほど、一気に集まるわけはなく徐々に参加する人とフェードアウトする人とに分かれていって残る人は残っていくんだなぁ…)と納得する。
移住者の中には、単身でやってきて妻子を都内に残している人もいる。離婚してしまってこちらで新しいパートナーを見つける場合もある。若いうちに結婚して子育てを終えてからも価値観を共有して生きていくというのは今の時代には合わないのかも知れない…

ひっきりなしに「ぶぉ~ぶぉ~」とか「ぴぃ~~~」とか「ほーほけきょ」とか…
時には、鉄砲が暴発したんじゃないか??というくらいに激しい破裂音が聞こえたりする。
破裂音も日常茶飯事
やまけん
「もしかして、猟銃の音ですか??」
沖さん
「あ~隣のおじさんが竹を焼いているんですよ~」
やまけん
「えっ!?でも結構大きい音だし、何回か鳴っていますよ??大丈夫なんですか??」
沖さん
「ん~もしかしたら猟銃でイノシシ打っているとかそういうのもあるかもですけどねぇ…今日は山に入るって話聞いてないし」
そういうものなんですか??
山に入るとか入らないとか聞き逃すとめちゃめちゃ危険じゃないですか??
メンバー
「そ~いえば、どっかであったよね!?猿と間違えて人打った話」
(あるんだ!)
沖さん
「あ~茂みがガサガサいったからって打ったやつですね。本当は姿が見えてからじゃなきゃいけないんですよね」
何にしても山狩りのルールを知っていたり、スマホで検索しても出てこない「広報無線」とか「回覧板」とかを見落としたら命取りになる事もあるってことなんですね。

メンバー
「僕はさ、都内でバリバリのIT企業にいたんだよね。それこそ、通信大手のS社。そこで新規事業の立ち上げとか仕掛けていくSWAT部隊みたないことやってきたんだ。お金も稼いだし、仕事もたくさんした…」
田舎で暮らすコツ、3つの経済
と前置きしてつづけた。
「田舎には3つの経済ってのがあると思うんだ。1つは貨幣経済。生活必需品を購入する経済。2つ目が、物々交換の経済。自分が作っている農産物とか知識経験とか時間を人の持っている余剰と交換する経済。3つ目が、お互い様経済。困った時には共同体だからみんなで助け合う。この3つの経済で東京で働いている時よりも年収が何分の1になっても食うに困らない生活ができるんだよね」
なるほど。東京は何をするにしても知り合いじゃない人たちの集まりなので全てにお金が介在する。余程仲良くなっていたら「今日はお代はいいよ」みたいな男前のマスターが傷心女性に優しさを手向けるシーンみたいなのがあるかもですが基本的には野菜くれる人なんていないだろう。
「この間も僕が住んでいるシェアハウスのドアノブに野菜が袋に入ってかかっていてさ、誰がくれたのかなんてわからなんだよね。そうしたら、みんなにやさしくしなきゃだし、お返ししていかなきゃでしょ。だから、お互い様」
南房総に移住を検討する人の多くがヤマナハウスを訪れるという。

沖さんは、この日地域の自治会の集まりに顔を出すために中座した。しかし、地域のお年寄りとうまくやっていくためにはそういう時間を無下にせず、優先的に考えなければいけないのだと思う。「いつも顔を出してくれるあの人」が紹介するからこそ、移住を考えている人や移住者たちがコミュニティに入りやすい環境になっているのだと気が付かされる。
そういえば、この間沖さんと一緒に食事したジビエレストランのオーナーは南房総に移住してくるそうだ。それも、1000年間続いた山の中の集落に住むという話だ…昔は100世帯以上が暮らしていた集落、現在は20世帯くらいしか住んでいないそうだが、そのほとんどの空き家はしっかりと整備され、補修を施してあるのだという。
「いつか、この家の持ち主が戻ってきたときに困ってしまうかも知れないから…」みんなが知りい合いでみんなが家族だというコミュニティ…想像していたよりも素晴らしい環境だな。
おまけ、ハクビシンの頭骨で作ったアート
(そろそろ次の取材先に行かなきゃ)と考えている矢先…若い女性たちがヤマナハウスにやってきた。
女性
「妹が頭骨でアート作ったんですよ~みてくださいこれ!」

これを見て嬉しそうに写真撮影に臨む沖さん。
沖さんはもともとが学者さん。
地域に生息する動物や山の中の生き物とかそうした生体にものすごく興味を持つ。かれは、山の中にある洞窟で2日位なら平気で生活できるという特技がある。
沖さん
「なんか来たな!と思ったらムカデだったから『あ~よかった』って安心できたんですよね~」
やまけん
(えっ!?ムカデ刺されたら痛いし…そもそも、見た目が気持ち悪いですよね??)
沖さん
「そうそう!キョン獲ったんだった。ほしい??」
とおもむろにビニール袋に入った血が滴る物体を持ってきた。
女性
「あ~ほしいです!うれしい!!!」
やまけん
(えっ!?ほしいんだ??)
沖さん
「肉ははいで塩漬けにしてあるから」
女性
「え~うれしいです~」
彼女は都内からやってきたという。今日は、キョンの毛皮が新鮮なうちに帰らないとということで今来たばかりなのにもう帰るのだという。
やまけん
「それ、どうやって持って帰るんですか?都内なんですよね??」
女性
「う~ん、お父さんの車だからダイジョブ」
話を聞くところによると、都内の会社で働いているのだが移住を視野にヤマナハウスには毎週来ているそうで、趣味で動物の毛皮を使ったアクセサリーを製造したり、山の中に入ってサバイバルのようなことをやるのが趣味なのだという。
(田舎って色んな人がいるな…いや、都会から変わった人たちが来ているのか?)
南房総三芳のシェア里山 ヤマナハウス

住所:千葉県南房総市山名1395
TEL:
営業時間:
定休日:
駐車場:多数あり
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