9/13(金)台風15号館山市と南房総市
現場のニーズを確認して、決して押し付け支援にならないように
こんにちは。船橋市場で交流スペース兼カフェの「市場カフェ」を経営し、その2階で船橋市のタウン誌「ふなばし再発見!!マガジンMyFuna」やネットニュース「MyFunaねっと」「船橋経済新聞」「Yahoo!ニュース」の編集をしているやまさきです。
今回は、前回に引き続いて台風15号で被害を受けた館山市、南房総市を訪問して見たこと、感じたことを書かせていただきます。
12日朝、4時に集合して石和石材の金子さんと前日深夜までの間にみんなが持ってきてくれた支援物資を車に詰め込み4時半くらいに船橋市場を出発。
金子さんは、そのままハイエースで南房総市役所に向かい、僕は途中少しだけ仮眠をとって自家用のエスティマで館山市役所に向かいました。
館山市役所に到着したのは6時半少し回った頃。まだ、市役所に誰も出勤してきていなかったです。そりゃ、そうですよね。時間早すぎますから。しばし駐車場で待機しました。
7時くらいに市の職員らしき女性が駐車場に。
「支援物資を持ってきたのですが…4号館ってどこですか?」
館山市では、市の4号館という建物で社会福祉協議会が受け入れ窓口になっています。
ここでは、台風直後から炊き出しなどで地域の人を元気づけてきた「はなの舞館山店」の出口さんと待ち合わせしてご挨拶、社協の人を紹介してもらいました。
社協が受け入れ窓口になったものの初めての経験で担当者も困惑気味。
「このあたりに置いていただければ、仕分けして市内に配布します。今日はブルーシートが到着するはずなのでその配布の際に一緒に配りますね」と、対応してくれました。
この時、茨城からやってきた災害ボランティア「ボランティアステーション常総」の松村さんという方が「避難所で消毒液が不足しています」というSOSをLINEの災害支援グループで受けたそうで大量の消毒液を置いていかれました。
さらに、岐阜(の方からだったと記憶)から支援の為に発電機を持ってきた男性も合流。この男性は、「前日の15時から発電機を何処に持っていったらいいか待っているんだよ」と。なんでも南房総市では24時間物資の受け入れを行っているらしく、「あっちに持って行ってあげたらよかったかな…待っている間に高校生のスマホ充電させてあげることもできるんだから…」と困惑気味。
行政によって有事の際の受け入れマニュアルに差がある様子。
また、市町村合併で市内に細かく拠点がある行政区と対応するのに十分な職員数がいる行政区とでも受け入れ対応に差が出るのだろう。
この時点で、「社会福祉協議会では受け入れがパンクするなぁ。災害支援に行ってきた職員の人がいないんだろうな」と感じたので、市内の細かい困りごとを発見して連絡してくれる人を見つけないといけないなぁと決意。
支援物資を届けて、市内の混乱状況を見てみようと海岸線に。イオンタウン館山があるのでどんな状況か覗きにいってきました。
施設内のガソリンスタンドは、すでに渋滞が出来つつあり30台くらいの車が給油待ちの状態。
イオンの中に入ると、入口すぐに酒コーナー。缶酎ハイが普通に山積みに。隣にはカップ麺のコーナー、ここも山積みです。
スナック菓子、果物、野菜とみてみたけど、少し品薄に感じるけど商品は並んでいます。弁当のコーナーに行ってビックリ。
「普通に弁当売ってるじゃん!!」
その傍らを高齢の夫婦が駆け抜けていきます。
「何を買うんだっけ?」「最初に、おにぎり!」
恐らく、今日からお弁当とかお惣菜を売り始めたんだと感じました。
店員さんに確認すると
「昨日までは空っぽだったんですけど、今日からお弁当とかも売り始めたんですよ」
トイレに行くと、坊主の頭を洗っている男性の姿が。
「まだ水でないんですか?」と僕。
「そうなんだよ、まいっちゃうよね~」
「今一番困っているのは何ですか?」と僕。
「電気、水、ガソリン!それだけだよ」なるほどね。
基本的に生活必需品とか日用品は購入可能で、家が残暑で暑いとか風呂に入るにも水が出てこないという段階なんだ。そういえば、イオンタウンの入り口付近でスマホいじっている主婦らしき人がいた。
「たぶん、電波が入らない場所があるんだな…」と、聞いてみると、
「南房総市から来たのよ」と女性。
買い物に来た時に電波が入る場所で知り合いに連絡を取っているようだ。だから、南房総市の人がなかなか連絡取れなかったのか!でも、返信が遅れてもフェイスブックのメッセンジャーで確実に返事が来た。未読のメッセージが残っているから順番に返信してるのか。と納得。
館山でコーヒー専門店「自家焙煎珈琲のサルビア」を営む鈴木さんに会って話を聞いた。
「電気が止まってしまって食材が少し無駄になってしまった」停電になってすぐに氷のストッカーから氷を出して袋に詰めて冷蔵庫にしまったのだとか。
「冷蔵庫開けなかったら冷気を保存できるからね。ほとんど食材無駄にしなくって済んだよ」
でも、冷蔵庫から溶け出た水で床は冠水。井戸水だったので取水制限も断水も影響なく、台風を乗り切ったそうです。
メガネサロンアシダの芦田さんに会って、しゃれたコインランドリー「エコラックスランドリー」の櫻田さんに会い、館山市内でも停電や携帯が不通のエリアからニーズをくみ取り、物資を運んでくれる約束を交わし南房総市へ。
南房総市では、うなぎ専門店の「新都」店主の長島さんに会いに行く。
長島さん、店に電気が通っていないけど、水も出ないけど、携帯電話もつながらないけど元気でした。
「たまに電波がかろうじて入る時があるんです、1本だけとか。その時にフェイスブックとか更新しているんです」
無事が確認できたけど、台風の影響で看板が落ちてしまっている。
「電気が復旧したらすぐに営業再開しますよ」
困っていることないんですか??
「電気がないと食材無駄にしちゃうから…さっきもこれ…」
なるほど。食材もったいないです。って、台風の影響で何かが困っているとか、物資がほしいとかないのですか?
「基本的に房州人ってのんびりしているんで」と、屈託のない笑顔で返す長島さん。
鴨川を抜けて帰ろうとしていたところ、途中で真っ暗なセブンイレブンを発見。
営業しているらしい…
エアコンは効いていない。あれ?ドリンクの冷蔵庫が開けっぱなしだ。扉の下に段ボールのままのドリンクが。普段アイスを売っているケースはほぼ空っぽ。でも、
「断水で水分必要な方はお持ちください。無料です」
なるほど。とけてしまっても役に立つもんね。
レジは発電機で回し、スナック菓子とかつまみを販売。ドリンクケースの中に酒も販売しているけど、冷えてはいない。でも、自動販売機が全く稼働していないのでドリンクのみでも結構繁盛している。
次に和田浦の道の駅「和田浦WA・O!」に。停電の為か営業していないけど、自動販売機の前にJK二人組を発見。何やら自販機についているハンドルを回している。もしかして発電機??
「70回回すと自販機使えるようになってジュース飲めるみたいなんです」
でも、
「あれ?これまたはずれ~」「え~、さっきもじゃん!!」
「まじ、ウケるんだけど(笑)」
なんか楽しそう。
ハンドルを回して、自販機の充電が済んだら購入希望のジュースのボタンを押す。無料で出てくるはずの災害用自動販売機からは何の返事もない。
道の駅和田浦で電線の復旧作業を行っている北陸電力のみなさんを拝見。昼夜問わず復旧に向けて一生懸命行ってくれてました。
せっかくなので、その場にいた工事のお兄さんとJKにお茶を進呈して、鴨川市に。
鴨川市と南房総市の境目あたりはまだ継続的に停電中でした。城西国際大学の観光学科キャンパス付近までは携帯電話どころかGoogleMAPも使用不可。
鴨川の市街地に近づくと電気も水も携帯も普通に生活できるように揃っている。
南房総市の人たちって、すごくのんびりしていて、テレビでやっているように困った困ったって感じではない印象。たしかに、残暑で暑いし、寝苦しいのだと思う。でも実際に、道端に座っておしゃべりしている様子をみたら、沖縄あたりでおばあちゃんがいすに座って話し込んでいるのと変わらない気がする。
今回、訪問した中には本当に悲惨な感じで家の屋根が飛んでいってしまった方と直接は会えなかったけど、家の屋根が飛んで行ってしまった人には、いまの僕が支援できる事ってそんなにない。せいぜい、義援金や寄付金を手渡したりするくらいだろう。
この段階で船橋の一般の人ができる支援って、ブルーシートをたくさん購入して持ってくることか、ブルーシートを購入できる資金を寄付することくらいかな…と感じて、渋滞のおさまっているガソリンスタンドを横目に市原市の支援物資受け入れ拠点目指して南房総を出ました。